『アリス殺し』小林泰三 感想
ハンプティダンプティの画像もちゃんと存在する。いらすとや、すごい。
前語り
どうもこんばんは、ドノウエです。
今回は最近読んだ本の感想第2弾。今回感想を書いていくのは、『アリス殺し』小林泰三です。
あらすじ(後述)を見て面白そうと思ったので、衝動的に「これは買おう。」と思ってしまった。結局、買ったのは1か月ぐらい経ってからなのだけど。
『不思議の国のアリス』が好きどころか大して知りもしないくせに「買おう。」と思ったの、今考えると不思議だ。
まあ、そういうこともある。
※なるべくネタバレはしないように配慮していますが、ネタバレになっているかもしれない怪しいラインの表現が出てきます。その点はご了承ください。
※感想部分に関しては敬体でなく常体で書かせていただきます。
あらすじ
最近、不思議の国に迷い込んだアリスという少女の夢ばかり見る栗栖川亜理。ハンプティ・ダンプティが墜落死する夢を見たある日、亜理の通う大学では玉子という綽名の研究員が屋上から転落して死亡していた―その後も夢と現実は互いを映し合うように、怪死事件が相次ぐ。そして事件を捜査する三月兎と帽子屋は、最重要容疑者にアリスを名指し…邪悪な夢想と驚愕のトリック!
【「BOOK」データベース】
感想
「これはミステリーと呼んでいいのか…?」というのが、率直な感想である。
話が面白い面白くないというわけではなく、ミステリーとして期待していた部分があったが、思っていた以上にファンタジー要素が強いなと思ったのだ。
もちろん、「夢と現実がリンクしている」なんて言うのは理論的に納得いく説明などできるはずもないのだから、多少なりファンタジーで終わらせてしまうのは致し方ないことなのだろうが…。
個人的には現実世界の人間にはもう少し理知的な会話をしてほしかったとは思う。
不思議の国の住人がまともな会話ができないのは「不思議の国の住人だししょうがないかあ。」ぐらいで済ませてしまうが、ちょっと現実世界の人間がまともな会話のキャッチボールができていないのはちょっとなあ…という感じ。
正直、「その会話、意味あったの?」と思ってしまう部分が何度もあった。(まあ、実際は意味があったモノもあるので文句は言えない。)
ただ、小説内には支離滅裂といってもいいような会話が出てくるにも拘わらず、「読みづらい」という感じはせず、むしろスラスラ読めてしまうのが不思議だった。これがプロの腕ということなのだろう。
終盤の展開は驚かされてしまったこともあり、面白いか面白くないかで言えば面白い小説ではあったのだけど、個人的には好みの内容ではなかったなあというのが総括。
前述の話以外にも、『不思議な国のアリス』の話を知らないと置いてけぼりにされてしまう部分があったり、グロテスクな描写が多かったり、さんざん人が死んでいる割には大した動機ではなかったり、とちょっと自分の中で「うーん…」となってしまう部分が多かった。
終わりに
酷評とまではいきませんが、ちょっと辛い評価をしてしまいました。
ここ最近読んだ小説がどれも自分好みだったこともあり、久々に自分好みでない小説を読んで辛口になっている感じはします。
そういえば、前回の記事( 『迷路館の殺人』綾辻行人 感想 - ゴマの教室)の中で、
気が向いたら「ネタバレ込み」の感想も書きたいなどとほざいていましたが、どうやらそんな時間はないようです。
ではまた次回。
ドノウエ